マンション購入を考えたら知っておきたい! あなたも「管理」の担い手です
駅徒歩10分、買い物にも便利、値段も予算内…! 理想のマンションが見つかった!と思っていても、少し気になることが。マンションを買った先輩が「管理組合の役員になって大変そう」と言っていたけど、大丈夫かな? 「管理は全部、管理会社がやってくれるんでしょ?プロにお任せしておけば安心だよね!」と思っていませんか?
実は、マンションを購入したら、「区分所有者」としての責務を担う必要があります。マンションの管理は、「全部プロにおまかせ」ではダメなのです。
マンションの管理は、区分所有者であるあなたの責務です
マンションを購入して区分所有者になると、そのマンションの管理組合の一員となります。そして、そのマンションの共用部分の管理責任も負うことになります。
例えば、外壁などの共用部分を維持管理するためには、定期的な大規模修繕が必要とされ、その費用は修繕積立金として区分所有者が負担します。こうした修繕に関することや、マンションでの基本ルールである管理規約などは、管理組合の総会で多数決で決める必要があります。マンションの区分所有者には、その意思決定に関与していく責務があるのです。
「管理とか修繕とかは管理会社がやってくれるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、管理会社は管理のサポートはしてくれますが、最終的に管理の責任を負うのは区分所有者です。そのため、管理組合の一員として関与することは不可欠なのです。
適切な管理が行われない場合、マンションの資産価値が低下したり、建物の劣化によって安全で快適に暮らし続けることが困難となったりするおそれがあります。マンションでは、それぞれの区分所有者は専有部分を所有するとともに、全員で共用部分を共有し、その管理のための責任と負担を負うことになります。
外部管理者方式って? メリット・デメリットを知っておこう
近年、区分所有者の高齢化などにより、区分所有者の中から管理組合の役員の選出が難しくなっていることなどを背景として、「外部管理者方式」を導入するマンションが増えてきています。
外部管理者方式とは、マンション管理業者などを区分所有法上の「管理者」として選定し、管理業者が管理に大きな役割を果たす方式です。管理業者が通常の管理業務とともに管理者としての役割も担います。
この方式のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 区分所有者の負担軽減につながり、管理組合役員の担い手不足の解決策となる場合がある。
- 管理業者が日々の管理事務とともに管理者業務を担うことで、専門的知見を活かした、機動的な業務執行が期待できる場合がある。
一方で、デメリットや懸念される点もあります。
- 管理者業務に対する報酬を支払うことにより、管理組合の支出が増加する場合がある。
- 管理者となった管理業者等が、自社やグループ会社との取引を行うことで、管理組合との間で利益相反が生じる可能性が高まる。
- 管理に対する区分所有者の関心が低下するおそれがある。
- 理事会方式(区分所有者の中から理事を選任し、理事会を中心に管理する方式)に戻すことが困難となる場合がある。
外部管理者方式を導入するなら「しっかりした監督体制」が大切!
外部管理者方式は区分所有者の負担軽減につながる可能性がある一方で、その運営方法によっては、管理会社と区分所有者間の利益相反の発生などが懸念されます。
そのため、外部管理者方式を導入する場合でも、区分所有者等が、管理者の選任や業務の監督を適正に行うことで、適正な管理が行われる体制を確保することが重要です。管理組合が適切な監督体制を構築することが重要となります。
国土交通省のガイドラインを活用しよう
国土交通省は、マンション管理業者等を管理者とする外部管理者方式等を導入する際の留意点について、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を公表しています。
このガイドラインは、外部管理者方式導入にあたっての「説明項目」や「情報提供項目」、そして導入する際の留意事項(望ましい事項)**を示しています。主な留意事項としては、以下のような点が例示されています。
- 管理者の権限の範囲を明確にする。
- 通帳・印鑑の保管方法(監事が保管するなど)。
- 利益相反取引等におけるプロセスや情報開示の方法。
- 監事の設置と監査の方法(監事の最低1名は外部専門家から選任するなど)。
- 大規模修繕工事は修繕委員会を設置して検討する。
外部管理者方式を導入する場合には、ガイドラインを参考に、しっかりとした監督体制を作ることが大切です。
まとめ
どのような管理の方式であっても、まずマンションの管理に関心を持つことが重要です。管理会社はサポート役ですが、最終的な責任は区分所有者自身にあります。管理組合の一員として、マンションの適切な管理に関与していくことが、マンションの資産価値維持や快適な暮らしのために不可欠なのです。
ガイドラインの本編は国土交通省ウェブサイトで公開されていますので、「国土交通省 マンション管理」で検索して確認してみましょう。
出典: 国土交通省「知っていますか? 区分所有者の責務」抜粋~