え、マンションの工事で裏取引!? 公取委が動いた談合疑惑の真相に迫る!

2024年3月、マンション業界に衝撃的なニュースが飛び込んできました。公正取引委員会(公取委)という、みんなが公平に競争できるように見張っている役所が、マンションの大規模な修理工事を行う大手20社に、談合(だんごう)の疑いで一斉に立ち入り検査を行ったのです。

なにが起きたの? 公取委の突然の調査

ニュースによると、多い会社では15人くらいの検査官が来て、パソコンや会社のサーバー、メール、社員のスマホや手帳などを調べたそうです。この調査には、なんと200人以上の検査官が動員されたということで、公取委が本気で問題を解決しようとしていることが伝わってきます。その後、いくつかの会社名が報道されました。また、工事の業者を選ぶのにかかわる設計コンサルタント会社にも話を聞いたということです。

さらに、マンションでよくある機械式駐車場の設置を巡っても、公取委は別の会社に独占禁止法違反があったとして、お金を払うように命令を出しています。

なんでこんなことが問題になっているの?

分譲マンションでは、だいたい12〜15年に一度、みんなで積み立てたお金を使って、建物全体を修理する大規模修繕工事が行われます。中規模以上のマンションだと、この工事には億単位のお金が動くこともあり、業者にとってはすごく大きな仕事になります。

マンションコンサルタントの専門家によると、今回公取委が検査に入った会社は業界でも大手で、「こういう会社に頼んでいた多くのマンションで、談合による被害が出ている可能性がある」と言われています。まるで、談合が業界全体の慣習になってしまっていたようなのです。

巧妙な「談合の仕組み」とは?

今回の問題の背景には、マンションの管理会社、設計コンサルタント会社、そして工事会社が協力した、巧妙な「談合の仕組み」があると言われています。

  • 管理会社の役割: 管理会社は、最終的にどの業者に工事を頼むかを決めるマンションの住民たち(管理組合)に一番近い存在です。マンションの修理積立金がどれくらいあるかも知っています。
    • 管理会社は、自分たちが直接工事を請け負う「責任施工」という方法で、できるだけ高い金額で仕事を受けて、安い値段で別の下請け業者に工事を丸投げして、その差額を儲けようとすることがあります。
    • 競争で業者を決める「設計監理方式」という方法の場合でも、管理会社は裏でつながっている設計コンサルタント会社を紹介して、高い紹介料をもらっていると言われています。
  • 設計コンサルタント会社の役割: 設計コンサルタント会社は、管理組合に対して、公平な立場で工事会社を紹介するように見えますが、実際には工事会社からお金(バックマージン)をもらえる業者を選ぶように、裏で働きかけていることが以前から問題視されていました。中には、工事会社がお金を出して設立したような設計コンサルタント会社もあり、「管理組合の味方に見せかけた工事会社の営業部隊」のような場合もあるようです。
  • 「談合会議」の存在: なんと、2ヶ月に1回くらいのペースで、工事会社の担当者が集まる「談合会議」のようなものがあると言われています。そこで、設計コンサルタント会社などから聞いた工事の予定をもとに、どの会社がどのマンションの工事をやりたいかを決めているそうです。受注する会社は事前に「内定」していて、業界内では「チャンピオン」と呼ばれるそうです。
  • 管理組合への「誘導」: 最終的に工事会社を決めるのは管理組合ですが、設計コンサルタント会社は「大手の会社の方が安心ですよ」などと説明して、参加できる業者の条件(例えば会社の資本金の額など)を高く設定します。そうすると、いつもの談合メンバーの会社しか残らない、というわけです。
  • 当て馬: 見積もり競争をしているように見せかけるために、他の数社の見積もりは、チャンピオン業者の担当者が一人で作ることもあるそうです。そのため、複数の見積書で同じような間違いが見つかることもあると言われています。

談合があるとどうなるの?

このような談合が行われると、工事の費用が本来の値段よりも20~50%も高くなると言われています。機械式駐車場やエレベーターの工事だと、2倍以上になっているケースもあると考えられています。

さらに、談合によって仕事が自動的に入ってくるため、工事会社は工事の質を向上させようという気持ちが薄れ、手抜き工事が多くなるという指摘もあります。設計コンサルタント会社もバックマージンを受け取っているので、手抜き工事を見逃しやすい状況になるようです。例えば、防水や塗装の量がきちんと塗られていなかったり、古い部分をきちんと修理せずに上から重ね塗りしたり、工事をしていないのに費用だけ請求するような事例もあるそうです.

どうすれば談合を防げるの?

大切なマンションを守るために、私たちはどうすれば談合を防ぐことができるのでしょうか?

  • 工事の適正な価格を知る: 専門家によると、談合がなければ、標準的なマンションでは1戸あたり120万~130万円程度で大規模修繕ができると言われています。これよりも高い金額の場合は、まず談合を疑ってみるべきでしょう。
  • 複数の業者から見積もりを取る: 設計コンサルタント会社に工事の設計だけを頼んで、管理組合が主体となって複数の自社で工事ができる業者を探すのも良い方法です。見積もりを依頼する際には、情報が漏れないように注意しましょう。
  • 工事の時期を見直す: 大規模修繕工事は12~15年ごとに行われることが多いですが、これは法律で決められているわけではありません。必要に応じて工事を行うという考え方で、時期を遅らせることで積立金を節約できる可能性もあります。
  • 管理組合が積極的に関わる: 一番大切なのは、管理組合の役員をはじめ、マンションの住民一人ひとりが大規模修繕に関心を持つことです。複数の業者から見積もりを取り、内容をしっかり比較検討したり、わからないことは積極的に質問したりする姿勢が、談合を防ぐ力になります。
  • 管理会社の選び方も重要: 管理会社がマンションの住民の利益を第一に考えて行動してくれるかどうかは、大規模修繕の成否に大きく影響します。管理会社の選定や見直しも検討する必要があるかもしれません.

無関心だと損をする!

自分のマンションの価値を守るためには、大規模修繕に無関心でいることが一番危険です。悪い業者に騙されないためにも、私たち住民一人ひとりが問題意識を持ち、賢く行動していくことが大切です。

今回の公取委の動きが、長年続いてきた業界の良くない習慣を変えるきっかけになることを願って、私たちもマンションの健全な維持・管理のために、できることから始めていきましょう。

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